「狭小住宅を新築する際の注意点」

2020.09.30

狭小地に新築を建てる場合、広い土地に新築する際とは異なり、狭小地ならではの注意が必要になります。事前にこの注意事項を知った上で、土地探しから始めたり、自分が建てたい住宅のイメージができていれば良いのですが、土地を購入した後や、建築会社を決めた後に、こうした問題に直面するとそれまでのプロセスが無駄になるばかりか、もう後戻りができずに希望の仕様や税制優遇を諦めざるを得ない状況も発生します。そうならないためにも、狭小住宅を新築する際の注意点をまとめましたので、現在、狭小住宅を検討中の方や、これから土地探しを始める方にご覧いただき、賢い家づくりを実現してほしいと思います。

目次

延床面積50㎡以上が第一関門!!

新築をする上で必ず押さえていただきたい数字が、『延床面積50㎡』です。これは、「住宅ローン控除」や「住まい給付金」といった税制優遇が受けられるかどうかの分かれ道となります。50㎡未満の場合は住宅ローン控除や住まい給付金の適用対象外となります。

なお、延床面積とは家全体の床面積の合計となります。平屋であれば1階分の合計床面積、2階建てであれば1階と2階の床面積の合計が、延床面積となります。また、それぞれの土地には建築のルールとして建ぺい率と容積率が定められています。建ぺい率は敷地面積に対して〇〇%までの建築面積となる建物の新築が可能かどうかを表し、容積率は敷地面積に対して●●%までの延床面積となる建物の新築が可能かどうかを表します。つまり、土地選びの時点で、最大の建築面積および延床面積を割り出すことができるのです。

まずは延床面積50㎡以上の建築が可能な土地かどうかを判断基準に、土地探しをしてみるのもいいかもしれません。ただし、現金で土地を取得したり、新築するケースなど、住宅ローン控除や住まい給付金が使えないことを理解した上で、延床面積50㎡未満の家を建てる(土地を買う)のであれば、決して悪いことではありません。

「住宅ローン控除」を受けるには延床面積50㎡以上が条件→40㎡以上に緩和

「住まい給付金」も同様に延床面積50㎡以上が対象→40㎡以上に緩和

【税制】狭小住宅に追い風!?

延床面積70㎡以上も注意!!

低金利時代のいま、全期間固定金利を選ぶ人も多くなりました。全期間固定金利とは、完済まで金利は一定のままで、毎月のローン返済額も基本的に変わることはなく、数あるローン商品のなかでも唯一、返済総額が借入時に分かる金利方式になります。(繰り上げ返済等の利用で、返済額が減る可能性あり)

そんな全期間固定金利の代表ともいえるのが「フラット35」です。一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか? このフラット35は、延床面積が70㎡以上ないとそもそも利用することができません。こちらも、前項と同様に土地探しの時点である程度の延床面積を算出できるため、フラット35の利用を検討されている方は注意が必要です。

「フラット35」の利用は延床面積70㎡以上が対象

長期優良住宅を検討中の方は注意が必要!!

1の階の床面積40㎡もチェック!!(あわせて延床面積75㎡も)

住宅ローン控除適用やフラット35利用に関する延床面積の制限に加えて、もうひとつ大切な数字を覚えておいてください。それは、長期優良住宅の認定基準となる「1の階の床面積40㎡以上」および「延床面積75㎡以上」という数字です。こちらも前項と同様に土地探しの時点で、長期優良住宅の認定が受けられるかどうかがわかります。

長期優良住宅は読んで字のごとく、長期に渡って良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。国が定めた基準を満たした住宅が、市区町村によって長期優良住宅の認定を受けることとなります。なお、長期優良住宅は不動産取得税や登録免許税、固定資産税などが優遇されるメリットがあります。

しかし、狭小住宅の場合、この「1の階の床面積40㎡以上」がクリアできず、長期優良住宅を断念せざるを得ないケースが多くあります。土地を購入する前や建築会社を選ぶ前に、長期優良住宅が建てられる土地かどうか確認をしておくといいでしょう。

なお、わたしたちアースでは床面積の都合上、長期優良住宅の認定が受けられないケースでは、代わりに「低炭素住宅」の認定を受けることとしております。低炭素住宅は構造に関する基準がないため、狭小住宅との相性が良い仕様と言えます。長期優良住宅と比較すると一部の税制優遇が受けられない等の差はありますが、金銭的メリットはおおむね同じと言えるでしょう。その際、構造に関する仕様は長期優良住宅と同じにすることがポイントです。そうすることで、住み心地や耐久性は長期優良住宅と変わらない安心を手にすることができます。つまり、「外見は低炭素住宅、中身は長期優良住宅」というイメージです。

狭小住宅には低炭素住宅の認定がオススメ(ただし長期優良住宅仕様にすることをお忘れなく!!)

《まとめ》

土地探しを始める前に、認定を受けられる住宅仕様や利用できるローンを確認しましょう

敷地面積によって、認定を受けられる住宅の仕様や、利用できるローンが異なることをご理解いただけましたか? 敷地面積は後から広げることは不可能です。狭小住宅を選ぶ際には、この点にも気を付けながら計画を立てていかれることをオススメします。

「狭小住宅のつくり方」(①建ぺい率編)

「狭小住宅のつくり方」(②中庭編)

「狭小住宅のつくり方」(③容積率編)

「狭小住宅のつくり方」(④北側斜線編)

「狭小住宅のつくり方」(⑤手仕事編)

「狭小住宅のつくり方」(⑥可変性編)

「狭小住宅のつくり方」(⑦抜け感編)

「狭小住宅のつくり方」(⑧光と風編)

「狭小住宅のつくり方」(⑨収納アイデア編)

「狭小住宅のつくり方」(⑨収納アイデア編)

「狭小住宅のつくり方」(⑩空調編)

「狭小住宅のつくり方」(⑪間取り編・最終回)

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