「狭小住宅のつくり方」(④北側斜線編)

2020.01.25

東京の住宅事情を考えると、地方にくらべて敷地は狭く、建築条件も厳しいケースがほとんど。しかも、土地形状が正方形であることは珍しく、「狭さ」や「形状」に頭を悩ませているひとも多いのではないでしょうか。そこで、狭小地でも失敗しない家づくりのポイントをまとめたコラムを不定期連載にてお送りします。第4回目は「北側斜線」について。

目次

北側斜線とは

北側斜線とは、自分の敷地または建物から見て北側の隣人に対して日当りを考慮し、南からの日照確保のために建築物の高さを規制したルールのこと。北側の隣地ということは、その隣地側から見れば南側に新しく建物が建つことになります。南側に新しく建つ建物の高さを制限しなければ、北側の家の日当りや採風は著しく阻害される恐れがあります。日当りが悪くなると、日照権をめぐるトラブルに発展することは容易に想像がつきます。そのため、北側斜線制限はこのようなトラブルを避けるために設けられています。

続いて、どのようにして北側斜線制限がかかるかご説明します。真北方向に対して算定し、北側の隣地境界線上に一定の高さをとり、そこから一定の勾配で記された線(=北側斜線)の範囲内で建築物を建てることが求められます。良好な住環境を保護するためのルールなので、第1種・第2種低層住居専用地域および第1種・第2種中高層住居専用地域にて、この北側斜線制限が適用されます。

狭小地では北側斜線をいかにクリアするかがカギ

狭小地に家を建てるということは、斜線の制限を上手にクリアしていくアイデアや工夫が求められます。斜線への対応によって、暮らしが大きく変わることは、コンパクトハウスが持つ特徴のひとつです。

ここからは、わたしたちアースの斜線をクリアするアイデアや工夫をご紹介します。

縦格子で北側斜線をかわす

バルコニーのフェンスを縦格子にすることで、斜線の制限をかわすことができます。

縦格子と螺旋階段を組み合わせる

フェンスだけでなく、屋上にのぼる螺旋階段にも縦格子を採用。北側斜線にかかる塔屋を設けずに、屋上にアクセスすることができます。

半地下で建物の重心を下げる

斜線をかわす有効な方法のひとつとして、建物の高さを低くすることが挙げられます。しかし、低くすることで十分な階層(床面積)を確保することが難しくなります。そこで、半地下室を設けることで、建物全体の高さを抑えて斜線をクリア。さらに、容積率にカウントされない空間も生まれ、一石二鳥です。

高さを下げることで、斜線をクリアし、念願のセカンドリビングとBBQを楽しめる屋上空間を叶えた例も。

斜線をかわした勾配屋根を有効活用

勾配天井にトップライト(天窓)を設けたり、ロフト空間として有効活用することもできます。

「狭小住宅のつくり方」(①建ぺい率編)

「狭小住宅のつくり方」(②中庭編)

「狭小住宅のつくり方」(③容積率編)

「狭小住宅のつくり方」(⑤手仕事編)

「狭小住宅のつくり方」(⑥可変性編)

「狭小住宅のつくり方」(⑦抜け感編)

「狭小住宅のつくり方」(⑧光と風編)

「狭小住宅のつくり方」(⑨収納アイデア編)

「狭小住宅のつくり方」(⑩空調編)

「狭小住宅のつくり方」(⑪間取り編・最終回)

狭小地の住宅の実例をみる

この記事が気に入ったら
いいね!しよう!

アースの最新の話題を
お届けします。

関連おすすめコラム

簡単・無料資料請求