「狭小住宅のつくり方」(②中庭編)

2019.11.30

東京の住宅事情を考えると、地方にくらべて敷地は狭く、建築条件も厳しいケースがほとんど。しかも、土地形状が正方形であることは珍しく、「狭さ」や「形状」に頭を悩ませているひとも多いのではないでしょうか。そこで、狭小地でも失敗しない家づくりのポイントをまとめたコラムを不定期連載にてお送りします。第2回目は「中庭」について。

目次

中庭のメリット

前回の「狭小住宅のつくり方」(①建ぺい率編)でもお伝えした通り、わたしたちアースは18坪未満の土地を「狭小地」、そこに建てる住宅を「狭小住宅」として定義づけています。そんな狭小住宅にも『中庭』をつくることができ、多くのメリットがあることを知っていただけたらと思います。

1)外でありながらプライベート感が溢れる非日常空間を楽しめる

2)外の視線を遮れるインサイドな空間であるため、防犯を気にすることなく窓を開放しながらオープンな暮らしを楽しめる

3)外空間と内空間をつなぐことで、視覚的な広がりをつくることができる

4)中庭スペースを通じて採光、採風を叶えることができる

5)建ぺい率に縛られることなく、土地全体を利用して家を大きく建てることができる

6)植栽と組み合わせることで、四季を感じられる癒しの空間を創造できる

「外」を自分たちのだけのものに

中庭の持つ大きな魅力のひとつは、自宅のなかに自分たちだけの「外」を持つことができる点にあります。特に住宅がひしめき合う都心では、外空間を確保する余裕がないケースもしばしばであり、自分たちだけの「外」があることは贅沢の象徴と言えるかもしれません。

そんな中庭空間は、外壁によって囲まれたスペースを設計することで、外部からの視線を遮ることができ、プライバシーを確保することができるのです。これがまさに、自分たち「だけ」の外空間と言える理由です。

さらに、遮るのは視線だけではありません。中庭は外壁で覆われているため、外部からのアクセスも遮断します。つまり、防犯面でも非常に優位性があり、(中庭の内側で)オープンな暮らしを実現することができるのです。

中庭のあるオープンな暮らしは、窓を全開にして屋内と屋外を大胆につなぐことも可能にします。そこには非日常的な体験やリラックスした時間など、たくさんの新たな暮らし方のヒントが隠れています。

中庭で採光、採風を確保

わたしたちが積極的に中庭をご提案する理由。それは採光や採風を確保するためです。前述の通り、都心では道路面以外は三方が隣家に囲まれている敷地が多くあります。その結果、道路に面した方角のみからの採光を頼るしかありません。

しかし、中庭を設けることで、この問題を簡単にクリアできることも少なくありません。ここでは、中庭を使った採光の工夫例をご紹介いたします。

【採光の工夫その1】長方形の土地に対して中央に中庭を配置して採光を確保

【採光の工夫その2】隣家の斜線を計算し、中庭(裏庭)をつくることで採光を確保

【採光の工夫その3】バルコニーの抜け感を利用した中庭(通り庭)で採光、採風を確保

【採光の工夫その4】玄関アプローチを中庭にすることで採光を確保

外空間と内空間をつなぐ

人間が心地よいと感じる空間に共通していることは、自然物と緩やかにつながっている点かもしれません。狭小住宅においては、開放感が感じられる自然のある暮らしや外空間が、スペースに限りある空間を豊かにしてくれるのです。そして観葉植物などのグリーンを組み合わせることで、様々な非日常の空間を実現できる点も中庭の魅力です。

以上、狭小住宅における中庭のつくり方をご紹介しました。いかがでしたか? ご興味をお持ちいただけましたら、中庭のある住宅の建築実例も、是非ご覧ください。

「狭小住宅のつくり方」(①建ぺい率編)

「狭小住宅のつくり方」(③容積率編)

「狭小住宅のつくり方」(④北側斜線編)

「狭小住宅のつくり方」(⑤手仕事編)

「狭小住宅のつくり方」(⑥可変性編)

「狭小住宅のつくり方」(⑦抜け感編)

「狭小住宅のつくり方」(⑧光と風編)

「狭小住宅のつくり方」(⑨収納アイデア編)

「狭小住宅のつくり方」(⑩空調編)

「狭小住宅のつくり方」(⑪間取り編・最終回)

中庭のある住宅の実例をみる

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