「狭小住宅のつくり方」(⑪間取り編・最終回)

2020.11.22

家づくりの醍醐味とも言える間取り。昨今はインターネットで数多くの間取りを見ることができ、それらを参考にすれば自分たちに合った良い間取りをつくることができると安易に考えがちですが……。『良い間取り』とは、いったい何なのか? 家づくりの本質に焦点をあてながら、ご一緒に考えていきたいと思います。

目次

価値観の明確化と共有

家づくりは人生の節目である結婚式の準備によく似ていて、お互いの価値観の違いを鮮明に思い知る時でもあります。また、結婚式と家づくりの大きな違いは、着工前であっても一度決めたことは簡単に変更できない事柄が多くあることです。そのひとつが、間取りです。変更が容易ではない間取りを考える前に、自分の価値観とパートナーや家族の価値観を再認識して、お互いの違いを受け入れ、共有しておくことが大切です。

家づくりの三大価値観

以下、大きく3つの価値観を再考し合うことをおすすめします。

1.性能的価値

性能的価値とは、耐震性能・省エネルギー性能・劣化対策・空調など家の性能に関することです。耐震性を左右する要素として、階層の選択(2階建て? 3階建て?)、そして1階の間仕切りの量などがあります。これらは間取りをつくるうえで少なからず影響が出る要素となります。また、断熱性もどのような仕様にするかによって空間の広がりの選択が増えますし、その性能に従って空調計画も変化します。空調計画の詳細についてはバックナンバー【狭小住宅のつくり方⑩空調編】をご参照ください。

2.機能的価値

機能的価値とは、家事がラクになる動線や使い勝手の良い収納計画、お手入れのしやすい素材選び、昼間にカーテンを閉めない生活、充実したサニタリールーム、将来を見据えた空間計画など、機能を有効に発揮することや、実用的で無駄のない要素のことです。こちらの詳細は【狭小住宅のつくり方③容積率編・⑥可変性編・⑨収納アイディア編】をご参照ください。

3.情緒的価値

情緒的価値とは、四季を味わう暮らし、陰影のある空間、手触りの良い素材選び、人の集う距離感、シンプルな設え、空間の広がりなど、機能や性能ではなく感情的に捉える要素によって生まれます。詳しくは【狭小住宅のつくり方②中庭編・⑤手仕事編・⑦抜け感編・⑧光と風編】をご参照ください。

少々面倒に感じてしまうかもしれませんが、どれを取り上げても間取りづくりのためだけでなく、家づくりにとって重要な事柄となります。これらを踏まえて、ぜひ良い家づくりのために大切なパートナーと自分自身の本質をこれまで以上に理解できる良い機会と捉えて、ご家族でチャレンジすることをおすすめします。

暮らしは『時間』、時間は『人生』。

自分の価値観と家族の価値観を整理していくと、お互いの価値観がミックスされた新たな価値観が浮かび上がってくるでしょう。それらを取り入れた暮らしを叶えるための間取りを考え、つくっていくことが大切です。

そして、日々の暮らしは続いていきます。時を刻みながら、続いていきます。

暮らしは時間であり、良い時間を過ごすことは、良い人生を送ることにつながります。

狭小住宅という限られた空間としての制限がかかることで、より「私らしく暮らしたい」という想いが強くなり、それが新たな価値観の発見につながることを、わたしたちは多くのオーナー様の家づくりを通じて体験してきました。結果、その価値観が間取りとして構築され、そこに住まう人たちの日々の暮らしと人生を深めていくのだと思います。そんなオーナーの想いに触れながら、家づくり、そしてその先の暮らしのサポートをできることが、わたしたちにとって最大の喜びだといえます。

これまで全11回に渡ってお伝えしてきました『狭小住宅のつくり方』シリーズ。ご愛読いただきましたみなさまに、心より御礼申し上げます。時代とともに変わりゆく、わたしたちの暮らしを日々心新たに、これからも暮らしの可能性を探求しカタチにしていきます。今後の新しいシリーズも、ぜひ楽しみにしていただけたら幸いです。

「狭小住宅のつくり方」(①建ぺい率編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(②中庭編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(③容積率編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(④北側斜線編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑤手仕事編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑥可変性編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑦抜け感編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑧光と風編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑨収納アイデア編)はコチラ
狭小地の住宅の実例をみる

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