「狭小住宅のつくり方」(⑩空調編)

2020.09.15

東京の住宅事情を考えると、地方にくらべて敷地は狭く、建築条件も厳しいケースがほとんど。しかも、土地形状が正方形であることは珍しく、「狭さ」や「形状」に頭を悩ませているひとも多いのではないでしょうか。そこで、狭小地でも失敗しない家づくりのポイントをまとめたコラムを不定期連載にてお送りします。第10回目は「空調」について。

目次

「狭小住宅のつくり方」(①建ぺい率編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(②中庭編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(③容積率編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(④北側斜線編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑤手仕事編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑥可変性編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑦抜け感編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑧光と風編)はコチラ
「狭小住宅のつくり方」(⑨収納アイデア編)はコチラ

家の性能を知る

よく家の性能について、さまざまな意見を耳にしますが、わたしたちアースは大きく分けて以下の7項目を主要な性能として定義づけております。

(1)断熱性

(2)気密性

(3)省エネ性

(4)耐震性

(5)防火性

(6)防犯性

今回のテーマである空調と密接な関係があるのは、(1)断熱性・(2)気密性・(3)省エネ性となります。断熱性、気密性に優れた住宅は、外の暑さや寒さの影響を受けづらく、家の中の温度を保ち、快適に過ごすことが可能になります。

UA値(外皮平均熱貫流率)

断熱性能は「UA値(外皮平均熱貫流率)」で表されます。住宅の内部から床、外壁、屋根、窓などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮(住宅の外周を囲む外壁、屋根、窓等のこと)全体で平均した値です。

C値(相当隙間面積)

気密性能の数値は、「C値(相当隙間面積)」で表され、家全体にある隙間面積を延床面積で割ったもので、数字が小さいほど気密性が高いことを表しています。

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)

また、省エネ性は、一次エネルギー消費量(暖房・冷房設備、換気設備、照明設備、給湯設備)をどれだけ削減できたかを、住宅性能表示制度によって表されます。もっとも分かりやすい住宅省エネ表示として、「建築物省エネルギー性能表示制度」、通称BELSがあります。断熱性、気密性、省エネ性は目に見えないため、評価や比較などの判断がしづらいのですが、このように数値化したり、性能表示制度を利用することで、ユーザー自身が自分の住む家の性能を知ることができる時代になりました。

換気の種類を知る

続いて、空調をコントロールする上で欠かせない換気について触れていきましょう。常に外気の出入りを明確にして、新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を排出し続ける計画的な換気システムが必要になります。換気をおこなう方式は、第一種(同時吸排)、第二種(加圧換気)、第三種(減圧換気)の3つに分けることができます。ここでは、第一種と第三種についてご紹介します。

第一種換気

機械による給気と排気により、確実な換気量が得られるシステム

第三種換気

強制排気をすることで室内に負の圧力を生み、自然給気するシステム

どの換気システムを選択するかによって、その効果は異なります。さらに、間取りなどのレイアウトにも影響が出ることもあり、総合的に判断していきたいところです。

空調の種類を知る

空調は大きく分けると 対流式、輻射式、伝導式、換気の4種類に分けられます。

対流

空気が動くことで、空気の熱が伝わるのが対流式です。もっとも身近な例ではエアコンがあります。エアコンのメリットは、個別空調ができること、そしてイニシャルコストが安価であること、換気を含めた空気の質を変換できることです。デメリットとして、空気を暖め、冷やすことで対流を起こすため、ホコリやハウスダスト等が舞いやすいという問題を抱えています。また、冬場はエアコンを使うことで乾燥が進み、人体に悪影響を及ぼすこともあります。

輻射

輻射パネル放射板を暖めたり、冷やしたりして輻射熱(遠赤外線)を放出、吸熱することで、壁・床・天井・人体などの物体を直接、冷暖するシステム。メリットは、対流が起こらないため空気が動かず、結果的にホコリ等が舞いません。また、エアコンのような過乾燥や騒音がないこと、部屋全体を均一の温度に保ちやすいことが挙げられます。デメリットは、イニシャルコストが高く、起動してから設定温度に達するまでの時間がかかることです。

伝導

物自体に触れることで、その温度を伝導式の空調の代表が床暖房です。メリットは、輻射熱同様に空気が動かないこと、そして床自体が暖まるため、輻射熱も兼ねること。足の裏など肌が直接触れるところが暖かいことです。そして、一番効果的なのは、吹き抜け空間との相性の良さです。デメリットは、対流式に比べて、イニシャルコストが高いことと、暖房対応の床材を選ぶ必要があることです。

まとめ

断熱や気密の方法をどう設定するかで、快適性は大きく変わります。やり方次第で空調を使わずに暮らせる住宅を創ることも可能です。熱損失の少ない建築ができれば、わずかな熱エネルギーを利用するだけで、快適な暮らしを叶えられるのです。狭小住宅に限った話ではありませんが、住宅性能、換気計画を踏まえた上で、間取りを設計していくと、快適でエコロジーな住宅を実現することができます。少々、理解が難しい点もありますが、この先ずっと長く暮らしていく住宅ですから、ぜひ性能や空調にも気を配った家づくりをオススメします。

最後に狭小住宅における空調計画のポイントをご紹介します。

【エアコン室外機の設置場の確保】

【全館空調の場合の配管スペース】

上記2点は、スペースに限りがある狭小住宅では、一筋縄ではいかないケースが多いため、注意が必要です。

狭小地の住宅の実例をみる

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