「減築のはなし」

2019.04.29

みなさんは「減築」という言葉を耳にしたことはありますか? 「増築」や「改築」は一般的ですが、「減築」はあまり耳慣れない言葉かもしれません。 簡単に言うと、現状よりも小さくする工事をおこなうことです。 例えば、2階建ての2階部分をなくして、1階建て(平屋)にするなどです。 延床面積や容積率を減少させる工事とも言えるかもしれません。

目次

減築をするきっかけ

突然ですが質問です。 どういう状況になると「よし、減築しよう!」と考えるのでしょうか? 以下に減築を決めた代表的な出来事をまとめてみました。 ①子どもたちの独立によって、夫婦二人暮らしになり、部屋が余っている。 ②建物が古いので耐震性に不安がある。 ③二人暮らしをはじめるために中古物件を購入した。

まずは基礎を確認しましょう

減築をするにあたって、我が家は地震が起きた時に倒壊しないだろうか? という不安をお持ちの人もいるでしょう。 今から38年前、1981年6月以前に建てられた建物は耐震基準が現在とは異なります。 1981年までは旧耐震基準となっており、基礎に鉄筋を入れることや耐力壁といった考え方がありません。 コンクリートの中に鉄筋が入っていない基礎は無筋基礎と呼ばれ、粘りがなく、クラック(ヒビ)が入りやすいという短所があります。 ちなみに新耐震基準の基礎では、鉄筋をいれることが義務付けられていますので、1981年以降に建てられた(建てる)住宅は安心です。

この写真の基礎は、築51年の住宅の無筋基礎です。 このように、鉄筋が入っていないと写真のようにひび割れが発生しやすくなります。 基礎と土台がズレてしまうと家のバランスが悪くなり、最悪の場合、倒壊の危険性がでてきます。 こうした状況でも、あまり大がかりな工事をせずとも基礎の強度を高める商品があります。 鉄の数倍の引っ張り強度を持っている強化繊維(アラミド強化繊維)とエポキシ樹脂を併用することで、互いに連携し相乗効果を発揮します。 無筋基礎の住宅は、基礎を補強し、構造バランスを正しく計算しなおすことで、数十年は安心して暮らせる住宅へと生まれ変わる可能性があります。 構造計算(バランス)は、わたしたちが設計に用いるソフトウェアを使って計算することができます。 これは建築基準法の認可をいただける構造計算ソフトです。 このバランスとは「重心」と「剛心」が限りなく一緒になるように設計することが大切です。 重心……建物の重さの中心になるところ 剛心……強さの中心点のこと 揺れが起きて建物に水平の力が加わった時、その力は重心にもっとも強く働きます。 しかし、建物の一番強い部分は剛心であるため、重心と剛心が離れていると、そこに「ねじれ」が生じて建物に損傷を与えてしまいます。

ソフトを使った構造計算では、ねじれが生じないよう耐力壁(筋交いを入れる壁、筋交いの入れ方、構造用合板を張る)などを計算して、重心と剛心ができる限り近くなるよう配置します。 古い建物でも現在の建築の耐震基準に則ったかたちで耐震住宅化させていきます。 このねじれが生じなければ、それだけ建物に与える損傷は軽減されます。 耐震に関しては、経験や勘でこの辺に筋交いを入れておけば大丈夫! というものではなく、わたしたちはしっかりと計算の上で配置を決めた設計をご提案いたします。

耐震レベル最高ランクは等級「3」

近年、大きな地震が発生するたびに、想定外のことが起きています。 それを受けて基礎や構造の考え方は変化しながら、住宅はどんどん耐震強化されています。 耐震レベルをあらわす等級は「1」「2」「3」とあります。 数値が大きくなるにしたがって、耐震強度は上がっていく点が特徴です。 等級1は震度7相当の地震でも倒壊しない、人命が損なわれない、という基準を満たすものとなっています。 ちなみに、倒壊は防ぐことができたとしても、構造の損傷の危険性があるという点は注意が必要です。 損傷状況によっては、地震後もそのまま住み続けて生活することは難しいかもしれません。 また、地震は1回だけとは限りません。大きな地震が何度も繰り返し発生した場合には、倒壊の恐れも十分にあり得ます。 地震発生後は、そのまま家に残るのではなく、状況をみながら速やかに指定避難所へ移動されることが好ましいのではないかと思います。 とはいえ、避難の準備から実際の移動開始までの時間に地震が襲ってきても、十分耐えうる建物であれば慌てずに冷静な判断をもって避難したほうが賢明だと言えるでしょう。 こうした観点から、あらかじめ耐震性に優れた住宅を建てるということが、どれほど重要なことかお分かりいただけると思います。

なお、耐震等級2では等級1に対して1.25倍の地震に耐えうる構造、等級3では等級1に対して1.5倍の地震に耐えうる構造になっています。 (※構造に関しては、別記事で詳しくご紹介いたします。) 建築基準法では、この耐震等級1以上が求められるので、耐震性が1以下となる住宅は新たに建築が認められないことになります。

まとめ

減築の検討をはじめたら、まずは基礎や耐震性について考えてみましょう。

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