新築工事にかかる諸費用のはなし【完全網羅版】

2020.05.24

新築をする際、土地代と工事代金以外にも様々な費用がかかります。これを諸費用といいます。しかし、厄介なことに多数の項目から構成されている上に、一口に『諸費用』とまとめられているため、建築を始める前にその内訳を正しく理解している人はほとんどいません。もちろん家づくりは一生のうちに何度もあるイベントではないので、理解する方が難しいと言えます。ただ、この諸費用の全体像を把握しておかないと、資金計画が立てられなかったり、急な支払いが発生したり、お施主様にとってはマイナスなことばかり。そこで、今回のコラムでは【完全網羅版】として、家づくりにかかる諸費用の内訳を一つひとつご紹介していきます。

目次

諸費用を把握しないで始める家づくりは非常に危険!!

家づくりにかかる総費用を計算する場合、〈土地代〉+〈建物工事代〉+〈諸費用〉を考える必要があります。よく、「総額を〈土地代〉と〈建物工事代〉だけと捉えているケース」や「予算を組む上で〈建物工事代〉のなかに〈諸費用〉を入れるかどうかが曖昧になっているケース」、「具体的な〈諸費用〉の内訳をイメージできずにざっくりとした金額でみているケース」など、どうしても諸費用は後回しにされがちです。

その大きな原因は、どこまで網羅してよいか調べきれないため、おおよその感覚でしか捉えることができないからではないかと予想します。でも、大丈夫。このコラムをご覧いただければ、新築にどんな諸費用がかかるか明確になります。

そもそも、何のために諸費用を正確に把握する必要があるのでしょうか? それは、安全な資金計画を立てて、無理のない範囲で新築を建てるためです。諸費用を把握していないことで、急な支払いに対応できなかったり、金利の高い諸費用ローンを使うことになったり、デメリットはあってもメリットは一つもありません。安心して家づくりを楽しむためにも、しっかりと諸費用を把握した上で資金計画を立てて進めていきたいものです。

新築工事のパターンは大別すると2つ

諸費用の内訳項目は多岐に渡ると前述しましたが、その項目が新築工事をおこなうすべての人に共通するかというと、答えは「No!」です。例えば、すでに土地と建物を所有していて、そこに住んでいる人が、古い家を壊して新築に建て替える場合、土地の売買はおこなわれないため、仲介手数料は発生しません。しかし、元々住んでいた場所から仮住まい先に一時的に引っ越しをしないと、新築工事が進められないため、仮住まいのアパート等を借りる費用が発生します。逆に、現在は賃貸マンション等に暮らしている家族が土地から購入して家を新築しようと思った時には、土地の仲介手数料はかかりますが、(従来の家賃とは別に)仮住まいの賃貸費用はかかりません。このように、パターンによって発生する諸費用に違いがあります。

なお、新築工事のパターンは大きく分けて2つ、【A.土地から購入】【B.建て替え】のどちらかです。このコラムでは、諸費用の各内訳項目の後ろに【A.土地から購入】【B.建て替え】のどちらか、または両方で発生する費用かどうかを明記しておりますので、 ご自身の状況に当てはめて諸費用の内訳をチェックしていただければと思います。(※下記でご紹介する費用は、土地代と建物工事代とは別にかかる費用です)

《土地購入にかかる諸費用》

土地売買契約書印紙代【A.土地から購入】

土地の売買契約書には、売買代金に応じて印紙を貼付する必要があります。

仲介手数料【A.土地から購入】

土地の売買にあたって不動産会社が仲介に入った場合には、仲介手数料が発生します。最大で売買代金の「3%+6万円+税」がかかります。不動産会社が所有する土地の場合、その不動産会社が売主となる(仲介がない状態で売買契約を結ぶ)ため、仲介手数料は発生しません。

固定資産税精算費用【A.土地から購入】

固定資産税は1月1日時点の所有者が、一括して納付するというルールになっています。ただし、年の途中で土地を売却したとしても、すでに一括で支払った一年分の固定資産税を返還してもらうことはできません。そこで、新たな土地所有者(買主)が前所有者(売主)に対して、日割り計算で所有権が移った日から12月31日分までの税金を精算することが一般的です。

所有権移転登記費用【A.土地から購入】

土地を新たに取得した場合、新たな所有者として登記をおこなわなければ、第三者にこの土地が自分のものだと主張することができません。土地代金の決済と同時に所有権を前所有者から新たな所有者へと移す登記をおこなう際、司法書士にお支払いする費用となります。

不動産取得税【A.土地から購入】

不動産を取得した際に一度だけかかる税金です。なお、相続で不動産を取得した場合にはかかりません。

つなぎ融資手数料および利息【A.土地から購入】

注文住宅を建てるまでの流れはご存じの通り、まず土地を購入してから、続いて建築工事をおこないます。しかし、土地の売買代金は売主へ、建築工事代金は建築業者へ、それぞれ別々に決済(支払い)しなくてはなりません。そこで、最初に土地の決済をおこなうことになるのですが、金融機関によってはローンを分割して融資することができず、建物完成時に一括して土地代と建物代を融資するケースがあります。その際、土地代を自己資金で負担できれば問題ないのですが、それが難しい場合には、つなぎ融資を利用して先行決済をおこなう必要があり、その際に手数料と利息(借入額×金利×期間)がかかります。

《建築にかかる諸費用》

※建築会社によって建築本体工事費に含まれるケースがございますので、詳細はご確認をオススメします。

解体工事費【B.建て替え】

土地の上に古家が存在する場合、解体工事をしないと新築工事がおこなえません。解体工事費用は、取り壊しの対象となる古家の階数や工法によって変動します。また、更地になった後も、新築の障害となる地中埋設物等が確認された場合には、別途取り除くための費用がかかります。

※古家付きの土地を購入した場合にも、別途、解体費用が発生します。

水道工事費【A.土地から購入】【B.建て替え】

新築を計画している敷地に水道管が引き込まれていない場合には、別途、水道工事費が必要になります。また、メーターの位置を変更する等の工事を伴う場合にも同様に、別途費用がかかります。基本的に以前その土地に住宅が存在していた場合には、インフラを整備する必要はないと考えられますが、状況や環境によっては必要となるケースがございますので必ず確認しましょう。

ガス工事費【A.土地から購入】【B.建て替え】

水道工事費と同様に、新築を計画している敷地にガス管が引き込まれていない場合には、引き込み工事費用が別途必要になります。また、あわせて宅内のガス管工事(開栓工事)も必要になるため、お忘れなく。なお、オール電化住宅の場合には、このガス工事費は不要となります。

地盤改良費【A.土地から購入】【B.建て替え】

工事を始める前に必ず、地盤調査を実施します。その結果、地盤改良が必要となった場合には、この費用が発生します。地盤の状況等に合わせて改良方法も様々あるため、費用も一律ではありません。また、3階建てや耐火建築物など、建物自体の重量が大きくなればなるほど、地盤改良「必要」の判定が出る可能性が高くなります。地盤改良は『杭工事』と呼ばれることもあります。

外構工事費用【A.土地から購入】【B.建て替え】

家の周囲の仕上げや、庭や駐車スペースの仕上げ、隣地との境界塀(ブロック)など、外回りに関する部分を外構工事と呼びます。建築本体工事費に含まれていないことや、一部しか含まれていないことも多く、その対応は建築会社ごとに大きく異なります。資金計画段階である程度の仕様や費用感を確認しておくと良いでしょう。

地鎮祭費用【A.土地から購入】【B.建て替え】

新築工事を始める前に、 神主様を招いて土地をお祓いして清める地鎮祭をおこないます。その際、御初穂料、祭壇に飾るお供物代、ご近隣への挨拶品代などが必要になります。

上棟式費用【A.土地から購入】【B.建て替え】

建物が棟上げ工事まで進むと、上棟式をおこないます。工事に携わる職人さんが一堂に会して、お施主様と職人さんの顔合わせの機会にもなります。

仮住まい費用【B.建て替え】

現在お住まいの家を取り壊して新築工事をおこなう場合、工事期間中は一時的に仮住まい先にお引っ越しする必要があります。その際、毎月の家賃だけではなく、敷金や礼金も用意しておかなくてはなりません。古家から「お引っ越し〜解体工事〜新築工事〜新築へお引っ越し」となるため、余裕をもった期間と費用をみておくと安心です。

引っ越し費用【A.土地から購入】【B.建て替え】

工事が完了し、新築が完成したら、いよいよ引っ越しです。ここで作業を引っ越し業者に依頼する場合には、別途その費用がかかります。年度末など繁忙期には、料金が上がったり、予約が取りづらくなったりするため、事前に下調べしておくことをオススメします。

カーテン費用【A.土地から購入】【B.建て替え】

カーテンやブラインド、ロールスクリーンなどのウィンドウトリートメント(窓まわりの装飾)も別途必要になります。

家具【A.土地から購入】【B.建て替え】

生活をする上で欠かせない家具も、新築工事に合わせて新調する場合には、その費用を別途用意しておく必要があります。

家電・エアコン【A.土地から購入】【B.建て替え】

家具と同様にテレビ、冷蔵庫、洗濯機など新築工事に合わせて新調する場合は、その費用を別途用意しておく必要があります。なお、エアコンに関しては建物の広さや性能と連動していることも多く、サイズ選びなど建築会社に相談することをオススメします。

《住宅ローンにかかる諸費用》

※新築工事をおこなう上で、ほとんどの人が住宅ローンを利用されると思います。住宅ローンも選ぶ金融機関や商品によって、かかる諸費用も様々です。

ローン融資手数料・保証料【A.土地から購入】【B.建て替え】

住宅ローンの借り入れ手続きにかかる事務手数料などの費用です。金融機関によって、融資事務手数料や事務取扱手数料など、呼び方が異なることがあります。また、手数料とは別に保証料があります。保証料は、仮に債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合に、保証会社が借入先の金融機関に返済する保証を受けるために支払う費用のこと。借入額や期間に応じて、この保証料が変化します。

金銭消費貸借契約印紙代【A.土地から購入】【B.建て替え】

金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)とは、つまりローン契約のこと。住宅ローンでお金を借り入れる契約を結ぶ際、契約書を作成し、そこに契約金額に応じた印紙を貼付する必要があります。

つなぎ融資手数料・利息【A.土地から購入】【B.建て替え】

注文住宅の場合、建築会社に工事費を支払うタイミングは、一般的に3回(例:契約金30%・中間金40%・完工金30%)に分かれています。しかし、多くの金融機関では、住宅ローンは工事完成時(完工時)に一括して全額融資となるため、契約金と中間金の支払いに充てる資金の借り入れが別途必要になります。これがいわゆる「つなぎ融資」です。工事が完成して住宅ローンの融資が下りたら、その時点でつなぎ融資の元本と利息を一括して返済します。

※【A.土地から購入】の場合、土地決済時にも「つなぎ融資」が必要になります。

火災保険【A.土地から購入】【B.建て替え】

住宅ローンを利用して新築を建てる場合、金融機関からの融資条件として火災保険への加入を求められます。保険でカバーできる範囲や保険金額によって、保険料は変化します。

火災保険の詳細はコチラ

《登記関連の諸費用》

建物滅失登記費用【B.建て替え】

新築工事をおこなうために、すでに登記されている古家を解体した場合、その古家がなくなったことを登記する必要があります。一般的に、この登記申請は土地家屋調査士に委任することになります。

※古家付きの土地を購入して解体をおこなう場合、新所有者の名義にて滅失登記が必要になります。

建物表題登記費用【A.土地から購入】【B.建て替え】

新築した建物が完成したら、最初の所有者は「どんな大きさでどんな仕様のものができたか」という建物情報を登記しなくてはなりません。これを建物表題登記といいます。 一般的に、 この登記申請は土地家屋調査士に委任することになります。

(建物)所有権保存登記【A.土地から購入】【B.建て替え】

新築等の所有権の登記のない不動産に対して、初めて「誰が所有者か」を示す登記をすることを所有権保存登記といいます。金融機関から借り入れをする場合には、必要不可欠となります。この登記申請は、一般的に司法書士に委任することになります。

(土地・建物)抵当権設定登記【A.土地から購入】【B.建て替え】

抵当権とは万が一、返済が滞った場合に貸し手(金融機関)が不動産を強制的に売却をおこない、その売却代金から貸したお金を回収する権利のこと。もちろん、返済が滞らなければこの抵当権が行使されることはありませんし、ローンを完済すれば抵当権を抹消することもできます。

(土地)測量費用【A.土地から購入】【B.建て替え】

建築を計画する敷地が正確に測量されていない場合(隣地との境界が曖昧な状態等)、測量をおこなう必要があります。発生するか否かはケース・バイ・ケースとなるため、土地を購入する前には測量が必要かどうかも確認しておくと良いでしょう。

《まとめ》

諸費用にかかる金額はおよそ300~500万円

新築工事にかかる諸費用の内訳について、ご理解いただけましたか? 各費用の詳細は、土地の有無や、住宅の大きさ等で変化しますが、およそ300~500万円ほど必要になります。お客様それぞれの状況をヒアリングさせていただいた上で、具体的な数字をまとめた資金計画表を『無料』で作成いたします。ぜひ、家づくりの第一歩としてご活用ください。個別のご相談や、ご質問もお気軽にどうぞ!

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