「長期優良住宅化リフォーム」のはなし

2020.05.15

家族構成の変化や実家の相続、中古物件の購入などをきっかけに、リフォームやリノベーションそして建て替え(新築)を検討されると思います。そんななか、戸建てのリフォーム(リノベーション)において、補助金制度を利用できることをご存じでしょうか? そのうちのひとつ「長期優良住宅化リフォーム推進事業」についてご紹介いたします。

目次

そもそも「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは

質の高い住宅ストックの形成及び子育てしやすい環境の整備を図るため、既存住宅の長寿命化や三世代同居など複数世帯の同居の実現に資するリフォームを推進する。 ~国土交通省のHPから抜粋~

今まではスクラップ&ビルドで住宅をつくってきた日本ですが、これからは戸建てが余ってくる時代になります。そこで古くなった住宅もリフォームをすることで、最新の住宅と同じくらい安全で安心な建物にして有効利用していきましょう、という制度になります。この制度で補助金を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。

《a.劣化対策》

主な工事は防蟻(シロアリ対策=地面から1mまでの高さの土台、柱に防蟻処理の液体を塗布・浸透させる)。

新たに外壁を設けて既存外壁の外側に通気層を確保し、通気をとることで構造体(木)を健全な状態に保ちます。

《b.耐震性》

耐震等級2以上(S基準と言われる基準の場合です)

耐震等級1以上(A基準と言われる基準の場合です)

※これは耐震診断ソフトをつかい、計算するものです。

《c.維持管理・更新の容易性》

維持保全の期間(30年以上) 実施します。

1.構造耐力上主要な部分

2.雨水浸入を防止する部分

3.給水・排水の設備  

給水管、排水管、給湯管がコンクリート内に埋め込まれていないこと、10年ごとに点検すること。その際、点検しやすいように床に点検口を設け、床下にある給水管や排水管を確認およびメンテナンス作業できるように設置をします。点検のために何かを壊したり、取り外したりすることがないような設計になっている必要があります。

《d.省エネルギー対策》

 1.省エネルギー対策等級4に適合

 2.断熱等性能等級4に適合

国で定められた断熱性能値という基準値の中で、一番高い基準をクリアした住宅

《e.高齢者等対策(共同住宅のみ)》

《f .可変性(共同住宅のみ)》

※e.とf.は共同住宅に関する条件となるため、割愛します。

《g.住居面積の確保》

・1つの階の床面積が40㎡以上 (階段部分を除く)

・床面積の合計が55㎡以上

上記の内容に沿ってリフォーム工事をおこない、条件を満たす場合に補助金の対象となります。

長期優良住宅化リフォーム推進事業にかかる補助額

1住戸あたり最大250万円

+50万円(※)

※三世代同居対応改修工事を実施する場合に50万円を上限に加算

※キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設に係る工事

※ただし工事完了後、いずれか2つ以上が複数カ所あること

「長期優良住宅化リフォーム」の流れ

まず「インスペクション」と呼ばれる住宅の調査をおこないます。基本は「目視」「計測」を中心とした非破壊検査になります。基礎については、ひび割れがないか、鉄筋が出ていないか、サビなど出ていないか等を確認します。あわせて、給水・給湯管の劣化など、多岐に渡るチェック項目があります。その結果を受けて、どのようなリフォームをおこなうか、計画を立てていきます。

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を申請するにあたり、その住宅が違反建築で建てられていないかどうか注意しなければなりません。建築確認済証があるかどうかを確認してください。住宅の面積がクリアしていても、違反建築は補助金の対象外となりますので、特に中古住宅を購入の際にはこの点も気を付けてください。

この長期優良住宅化リフォームは、築年数が古い住宅に対しておこなおうとするとコストがかなりかかってきます。条件が現在の新築住宅と変わらない仕様となっているため、基礎工事、構造体の補強工事によって耐震基準を満たすようにつくっていかなければなりません。そうなると、木材の材料も多く必要になります。住宅をこれから先どのように活用していくのか、よく検討された上で、リフォームの方向性を探っていくことをオススメします。これは、個人が一人で考えるには難しい問題となりますので、まずは住宅のプロである建築会社に相談して、ベストな計画と工事費を一緒に探っていくと良いでしょう。

築46年の実家をリノベーション(筆者の体験談)

私ごとですが、実家を数年ほど前にリノベーション(フル・リフォーム)しました。それまで自分の住んでいた家にあまり関心がなかったのですが、建築業界に入って、様々な知識を勉強するうちに実家の状態がよくわかりました。簡単に言うと、「このままでは大震災が来たら耐えられるはずがない」と危機感を覚えたのです。

その時の実家は私の両親が二人で暮らしていました。今回のコラムのテーマである『長期優良住宅化リフォーム』というところまでは考えませんでしたが、最低限、地震で崩れない家、命だけは助かる仕様にはしたいという意向がありました。正直なところ、親も年をとっていたので、コストをたくさんかけて住宅を長持ちさせようという考えはなく、今後の十数年を安心して暮らせる家を目指すことにしました。

<基礎の補修>

当時、実家は築46年でした。基礎は無筋で、今とは比べ物にならないほど強度の劣る仕様であることがわかりました。しかも、ひび割れが起きていて、劣化はかなり進行しているようでした。さらに布基礎といって、住宅を支えているのは立ち上がりのコンクリート部分だけの工法であったため、土が見えているのがお分かりでしょうか? これは湿気がダイレクトに上がってきて、構造躯体(柱などの木材)を傷めやすくする原因となります。

そこで、まずはポリエチレンフィルムで土部分を覆い、湿気が上がってこないようにした上で、コンクリートを流し込み、基礎の強度アップを図りました。

本来でしたら、鉄筋を組んでコンクリート一体型のベタ基礎にするのがベストです。築20年くらいの建物でしたら、基礎は一体型のベタ基礎になっておりますので、このような工事は不要になるでしょう。

<構造躯体の補修>

続いて、構造体です。基礎の補強によって足腰は幾分しっかりしたものの、やはり骨組みが脆ければ大きな地震に耐えることは難しいでしょう。そこで一度、家の間仕切り壁や床、外壁などを解体し、構造躯体の状態をチェックすることに。実際には、基礎工事をおこなう時点で、このスケルトン状態になっています。

写真のなかに、比較的キレイな新しい木材が入っているのがお分かりでしょうか? これは『仮筋(交い)』といって家が解体中に崩れないように取り付けたものです。じつは実家は解体して分かったのですが、現在の住宅には必ず入っている「筋交い」という耐震用の木材がほとんど入っていませんでした。一部、入っていたところもありましたが、現在とは比べ物にならないほどの薄い木が、本来であれば土台と桁(梁)までつながなくてはならないところ、中途半端な高さまでしか取り付けられていませんでした。よくいままで私たち家族を守ってくれていたなと、妙な感心をしたことを覚えています。

そこで、新しく筋交いを入れ直し、構造用合板というものを家の外周部に張り、耐震補強をおこないました。これで一安心です。

とにかく建物が崩れさえしなければ、何とか命だけは助かる。そんな思いで実家をリノベーションしました。いま思い返してみると、家が本来持つ最低限の機能を満たすことに着眼していたわけですが、意外と同じような問題を抱えられている住宅は少なくないのでは? と感じております。しかも、怖いのはそこで暮らしている人自身がその状況に気が付いていないことです。「ウチは古いから仕方がない」「いままでも何とかなってきたから大丈夫」という考えは、本当に命に関わるという認識をまずは持っていただけたらと思います。いたずらに恐怖心を煽るつもりは毛頭ありませんが、何か起こってからでは遅いのです。

私も独立して家を持ちましたので、この実家は子孫に受け継がれるものではありません。だからといって、「何もしなくていい」ということとは別の話です。そこに人が住む以上、安全に暮らせる環境をつくることは不思議な話ではありません。なお、私の実家は基礎や構造躯体の補強をおこなうことで、耐震等級3(現在の耐震レベルの最高等級)を実現しました。

少し『長期優良住宅化リフォーム』 から脱線してしまいましたが、両親の命を守る「安心」をつくったリノベーションの話でした。ちなみに、わたしたちアースのリノベーションは「安心」をつくるだけでは終わりません。この実家も、耐震以外にたくさんの付加価値をつくることができました。詳しい話は、またの機会に。

このようにお客様ごとに抱えている困りごとや環境が異なるため、リノベーションの施工方法や計画は同じではありません。ひとつ共通の目安としてアドバイスできることがあるとすれば、築20年くらいの建物でしたら基礎はしっかりしているので、受け継いでいくという選択肢を考える価値があると思います。基礎は安心してつかえますので、その時は断熱工事がオススメです。今度は、断熱性能が20年前と現在では大きく異なります。

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